その朝、私はいつものように起きてテレビを点けた。
どうやら緊急生中継をやっているらしい。
画面の中には、飛行機から降りてくるどこぞの国の要人とその子どもが映っていた。
番組の解説によると、どうやらその子どもは、日本のアニメや漫画、ゲームといったものが大好きらしい。
そこで日本政府はわざわざ彼のために、ちょっとしたイベントを用意していた。
飛行機から降りたその場所には、うやうやしくレッドカーペットが敷かれており、アニメのキャラクターらしき2頭身の着ぐるみが、某鼠王国の国王のごとき仕草で愛想を振りまいていた。
が、しかし。
その着ぐるみ、どうも見覚えがある。
未だ後ろ姿しか映っていないのに、なぜかそれがある特定のキャラクターだということが一目で分かる・・、そんな奇抜な髪型をした着ぐるみがとうとうカメラの方を向いた。
「えぇえええ!!?」
それを見た私は、思わずすっとんきょうな声を上げてしまった。
なぜならば、ブラウン管越しにこちらを振り向いたそのキャラクターというのが・・・
六道骸、その人だったからである。
どうやらそのお子様の大のお気に入りが、よりによって彼だったらしい。
某アニメ専門店のグッズに使われているような2頭身の彼が、画面にでかでかと映っていた。
しかもやたら動き回っている。きもい。
かと思えば、その骸着ぐるみが喋り始めた。もちろん、あの声で。
しかも、どうやら録音ではなく、実際にその場に応じた発言をしている。ということは、生で声を入れているわけだ。流石、日本政府。ムダに豪華である。
そうか、政府ぐるみでやればこんな豪華なことがいとも簡単にできてしまうのか。それならいつものアニメやらイベントやらにこれくらい費やせこのやろう。
と、ムダな事を考えていると、再びカメラが切り替わった。どうやら、声の主を撮影しているようである。
こういう場合、一般的に考えて、六道骸その人の声が聞こえているのだから、勿論その場で声を出しているのは骸役の飯田さんのはずである。
しかし、どうしたことだろう。
なんと、そこに映っていたのは・・・
六道骸本人だった。
これだけで私にとっては大きな衝撃である。
しかしそこは骸様。それだけでは終わらなかった。
画面に映る彼の姿をよくよく見ると、なんと黒曜の制帽を被り(ここまでならまだいい)、水着を着ていた。
しかもよりによって
黒ビキニ。
以前何処かで某反逆の皇子がこれと酷似した水着を着ていたが、何せ着ているのはかの六道骸である。
どう見てもただの変態にしか見えない。
え、これって放送してもいいの?ねえいいの?!
つか放送しないにしてもこれマズイって!人間的にマズイって!!
と、私の心は叫んでいたが、その心を裏切るかのように大声で笑っていた。
そして私は、この衝撃をとにかく誰かに伝えようと、ケータイを手に取り、早速綺羅へとメールを送った。
『今すぐ「めざ●し」見て!!』
明らかに用件だけのメールだったが、とにかく見てもらえばなんとかなるだろうと言う考えが先行していた。
するとそこへ、すぐさま綺羅からの返事が返ってきた。
『「め●まし」じゃなくて「ズーム●ン」だよ(笑)』
そうか。
どうやら、私は気が動転したあまり、放送局と番組名を間違えていたらしい。いや、もしくは両方の番組で生中継していたのかも知れない。
でもどちらでもいい、彼女もしっかり見ていたという事実にとりあえず安心した。
というところで目が覚めました(爆)
いつか来るだろうとは思っていたんですが、まさかこんなに変態化して出てくるとは思いませんでした。
彼は「キモカッコイイ」はずなのに、大切な「カッコイイ」がカケラも見あたりませんでした。
「キモい」だけです。あれだけキモいと、もう取り返しがつかないんじゃないかな、と思いましたが、よくよく考えてみると、本当に取り返しが付かないのは、こんな夢を見てしまった私の頭でした。
だいぶキてますねこれ(笑)
カオスだカオス。
大丈夫、自覚はある。
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